症例紹介〜猫の尿管結石、尿管膀胱吻合術〜
- 症例紹介
今回は猫の尿管結石についてのお話です。
尿管結石に関してはここ数年で明らかに症例が増えてきている疾患だと感じています。
特に猫ちゃんに関しては、急性腎不全に陥っているケースが多く、すでに尿量も減っており緊急に手術が必要となる症例も多い印象です。
そして、それに対応するための手術方法として今回は尿管膀胱吻合という手術について説明していきます。
猫ちゃんの尿管は正常では2-3mmととても細く、石が直接詰まる場合だけでなく炎症などにより容易に閉塞をおこしてしまいます。
そして、レントゲンや超音波検査でも細かい石の検出は困難で診断にはCT検査が必須になってきます。
尿管閉塞を起こしている場合には基本的には迅速な外科処置が必要になり、閉塞を起こしている尿管の部位、程度によっって尿管切開術、尿管膀胱吻合術、SUBシステムなどの術式を選択して対処していきます。
今回の症例は推定7歳の猫ちゃん、食欲不振で来院。
エコー検査、血液検査で急性腎不全の状態であるとわかり、精査としてCTを撮影したところ2mm程度の尿管結石による尿管閉塞であることがわかりました。
このサイズの石はレントゲンなどではわからずCTでようやくわかるくらいです。
結石のサイズが小さいこと、閉塞の場所が膀胱に近い場所であることから今回は尿管膀胱吻合術という術式を選択しました。
閉塞を起こして拡張している尿管を切断し、膀胱に一部穴を開けて新たに尿管と膀胱を吻合し、つなぎあわせていきます。
術後の写真です。この手術はかなり細かく、拡大鏡を用いて非常に繊細な手技が要求されます。
術後は腎臓の数値も正常範囲まで戻り、3日で退院となりました。
猫ちゃんに関しては今回のようにCT検査でないとわからない結石も多く、また石以外の原因で尿管閉塞を起こしている場合もあるため、急性腎不全と診断されたらなるべく早く精査、処置などの対応を検討して助かる命が増えてくれればと思います。
寒い時期は特に猫ちゃんの泌尿器の病気に気をつけましょう。