狂犬病への対策として、2004年の狂犬病予防法の輸入検疫制度改正に伴い、輸出入を行う予定のワンちゃん・猫ちゃんに対するマイクロチップの装着が義務として定められました。つまり、海外に動物を連れて行く場合、また海外から動物を連れて帰国する場合には動物検疫を受ける必要があり、その際マイクロチップを動物に装着しておかなければならないということです。また、動物の輸出入以外でも、地震や火事などの緊急災害時や、迷子になったときなどの確実な身元確認となりますし、捨て猫捨て犬の減少にも効果が期待されています。
マイクロチップは動物の個体識別を目的とした皮下埋め込み型電子標識器具です。農林水産省より動物用管理医療機器の承認を得ており、その使用は獣医師に限られます。マイクロチップの大きさはメーカーによって若干の差はありますが、直系約2㎜、全長11~13㎜の円筒形で、表面は生体適合ガラスで覆われています。一つひとつに15桁の個別識別番号が封入されていて、それを専用の読み取り機(リーダー)で読み取りその動物の個体識別(その動物がどこの誰かということ)を行うのです。耐用年数は25~30年とされており、少なくともその動物の生涯にわたって使用が可能であるように設計されています。
日本では埋め込み後6年間の観察で、副作用や腫瘍形成などの異常が認められなかった、という報告があります。マイクロチップは表面が生体適合ガラスで覆われているため、生体への影響は非常に低く、安全性が高いと考えられています。
当院ではISO規格に準じたマイクロチップで個体管理を行っております。マイクロチップの埋め込みを希望される方は、ご来院前にマイクロチップの在庫状況をお電話にてご確認下さい。その上で、診察させていただき問題がなければ処置いたします。処置料として5,000円かかります。(鎮静麻酔・局所麻酔など必要な場合は別途かかります。)
※ISO規格を導入している国とそうでない国があります。現在のところEU諸国・オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・台湾などではISO規格が使用されていますが、アメリカ・香港・ハワイ・グアムなどでは旧規格が使われているので、ISO規格のマイクロチップは読み取れません。渡航先の大使館などに、マイクロチップの規格を確認してください。(もしISO規格対応外の国に渡航される場合でも、帰国の際に日本の検疫でISO規格のマイクロチップが入っている必要があります。)
※海外渡航にはさまざまな手続きが必要になりますので、書類申請及び準備には十分な余裕をもってご来院ください。なお、必要書類の記入には数日単位のお時間を要します。