症例紹介〜開胸手術、肺腫瘍、犬〜
- 症例紹介
こんにちは!
当院では日々様々な手術を行っていますが、ここではその一部を紹介して、同じような病気で苦しむ子の参考になれるよう不定期に発信していこうと思います。
まず第一弾は開胸手術についてです。
当院で開胸手術を行う具体的な症例としては心タンポナーデなどによる心膜切除術と、肺腫瘍や肺葉捻転による肺葉切除術です。
ここでは肺腫瘍による肺葉切除術について説明していきます。
肺腫瘍(今回はわんちゃんについて)には原発性肺腫瘍と転移性肺腫瘍にわけられますが、手術適応となるのは単発の原発性肺腫瘍の場合が多いかと思います。そして原発性肺腫瘍のほとんどが肺腺癌と呼ばれる悪性腫瘍です。
実際の症例をあげていきます。
14歳のプードルさん、レントゲンにて偶発的に肺の腫瘍がみつかりました。
陰影がうすくてわかりにくいですが後葉に丸い結節があるのがわかります。
もう少し詳しく調べるためCT検査を実施したところ右肺後葉に存在していることがわかりました。
またCT検査により他の肺には病変がないことが確認できたので、後日手術による腫瘍摘出を行うこととなりました。
術式は右第5肋間切開により右肺後葉へアプローチ、結紮により右肺後葉全切除術を実施しました。
以下手術画像となります。(生々しい写真が続くので注意してください)
肺につながる血管と気管支を丁寧に分離しながら各々結紮離断していきます。
切除した検体は病理診断に送り、肺腺癌との診断でした。
肺腺癌は悪性腫瘍なのですが、わんちゃんの場合、単発で完全切除ができた場合はいわゆる根治治療となり、
長期生存が見込めます。
そのため高齢であっても手術適応であれば諦めずに治療していくことをすすめています。
症状としては咳が出ることで気づくことがほとんどですが、この子のようにたまたま見つかるということもあります。
少しでも気になる症状があれば早めに病院を受診してくださいね。